裏返しの◼︎◼︎

泥塑人は雨に濡れるたび入水の夢を見た
いっそ全ての記憶ごと水に融かして仕舞えたら と

乞われるままに引き取った悲鳴と膿が咽喉を潰す
「この程度の荷物すら抱えられないで何を偉そうに!」
不明瞭な輪郭が両腕の傷みを嗤い、恥じる心が言葉を隠した
背に浴びる皮肉が心音を乱してゆく

触れなかった本懐は寝台の下でゆっくりと腐っていった
不眠で痺れた思考回路に流入する闇

「私はただ、愛されてみたかっただけなのです」