雪の都に滲みる雨

一周回ってミクシィとかどうなんだろう
三人いるマイミクのうち二人(厳密には一人)はこのサービスの存在を忘れていそうだしもう一人は四年前に病死したし、で、もう誰もいない、あれだけ賑やかだった各コミュニティも今は殆ど人気がない様子、生きている人の気配がまるでしない

顔写真が結構あって、だからたぶんこのアカウントは彼ら二人との交流のためだけに作ったのだと思う
貼ってある写真は私に間違いないのだがやはり若さが、そりゃ二十も前半と後半では違うよなあと この頃は今ほど酒も飲まなかったからそのぶん体重も軽かったろう

酒、たらふく飲むのは今年いっぱいで止めにして来年からは一日一缶程度に留めるようにしようか
酒代が浮けば煙草…いや趣味にお金を使えるようになるしきっと体も軽くなる、一石二鳥だ
よしそうしよう よしよし

使い道を、考えたいな
彼処は、あのアカウントだけは最後まで残しておくつもりだからどうせなら使いたい



瑕疵に手向ける

岡惚れとラインについての話を半時間弱
別に好きでいるだけなら構わないだろうと言うと朴念仁、「想ってること自体邪な気がするんだよ」真面目に答える
そう思うのなら止せばいい、と言いかけて、そんなに単純な問題でもないかと思い直した
色恋は一種の病気だと誰かに聞いたことがある
今後その煩悶に堪えきれなくなったら私の電話を鳴らしてくれ、気付けばきっと受けるから、と差し出す手のあることを一応は伝えたが朴念仁はあくまで朴念仁、手を払いはしても掴むことは恐らくないだろう
(まったく、どいつもこいつも扱いが難しいったらない)
 
ラインの方は既読無視問題で一回り近く歳の離れた後輩と口論になったとかなんとか
「九野くんは既読無視とか気にする?」
「話題の着地点を適当に設定しているというだけで別に無視はしていないんだ」
「…君も責められたことがあるのね」
「…我々の様なタイプの人間なら必ず一度は通る道なんじゃないか?」


彼は通話とメッセージならメッセージでの遣り取りを好むそうだが私は断然前者だ*1、メッセージは何かこう、少し物足りないような感じがする

*1:もっとも、私の沈黙と無愛想を許してくれる相手に限るが

あれそれこれどれ(も)

友人とピクニックの日
私のつくった卵のサンドイッチと友人のつくったお弁当で昼食、おかずはどれも美味しくこれを毎日食べられる彼女の恋人は幸せ者だ としみじみ
お菓子は満腹で食べられなかったが酒はきちんと胃におさめた
柿の木の下に寝転んで逆転した天と地、どこまでも青い空に意識がぶれる

変化と不変の中間点
に、立っているような心持ちになる いつも
(私にとってのあの公園はそういう場所だ)

変わったことはたくさんあって
変わらなかったものも確かにあって
傍らでジャケットを被り休む友人を眺めながら、私と彼女、其々のこれまでと其々のこれからを思った

これまでたくさんの傷を負い、それでも他人に親切にする心は失わず、踠きながらも明日を手放すことはしなかった
そうしてこの娘は今も生きている
だからこそ幸せに、これからは目一杯幸せに暮らしてほしい と、そう願うのはこの時が初めてではなかったけれど。

一日、また一日と笑顔で暮らせる日々ができるだけ長く続いていくといい

眠る友人の寝息を聞きながら、そんなことを思っていた

鎮める仕事

先日みた娼婦の夢、おそらくメビウス*1が基になっているのだが、何かこう納得がいかない、夢の神は何故メビウスなど持ち出したのか
映画を下に敷くにしたってもっと他にあるだろう…同じ不穏でも嗤う分身とかさ、そういうの

夢で思い出したけど娼館の夢をみたあとに、いや合間だったか? に過去の自分とその周辺に纏わる記憶が短く再生されたりもした
蒲鉾の板くらいの大きさの黒いPHS、私が心底愛していた、諸般の事情で止む無く手放したあのかわいい電話機
青い春、などと呼べるような瑞々しい時代は私にはなかったけれども、それでも幾許かの鮮烈な思い出はあって
それらの記憶を象徴するもののひとつであるPHSを夢のなかに見て、なんだかひどく懐かしくなった

大人も子供も眠れない夜を常に誰かと共有していた、そんな時代の話。

*1:2014年に封切りとなったキム・ギドク監督の韓国映画。夫の不義を知り嫉妬に狂った妻が息子の性器を切断し、以下省略

その虚ろ

うらぶれた娼館の待合で私は金髪の自称生娘と長い話をしている。
舞踏室と呼ばれる部屋に連絡する通路を行きつ戻りつする娼婦たちとその部屋に入ったきり出てこない男たち、燈る洋灯がちらちらと翳るのを見て金髪、あやしく嗤い「ねえさんがたは容赦がなくていけねえや」と男たちの末路を暗に告げる。

「殺される?」
「魂咥え込んじまうんだよ」
「死ぬね、それ?」
「器っきり残ってさァ、それってもう生きちゃァいねえだろう、なあ?」

支配人に呼びつけられた金髪と別れ、ひとり館内を散策していると突然目の前の扉が開き、中から若い男性が転び出てきた。見れば全身血塗れで、所々引っ掻かれたような傷がある。さすがに黙殺することもできず声を掛けると、「中の子が危ない、気が触れているから保護しなくては」
保護されるべきはあんただろう、と思いつつ部屋を覗くと口の周りを真っ赤にした少女が寝台に横たわっており、その姿を見て大体の事情を察した私は黙って踵を返そうとしたのだが、少女はそれを許さず、
「お客様、こちらへ」
と、おそらく扉の外で悶絶している彼から咬み千切ったのであろう局部を掲げ、うっそりと笑った。

ゆるり儚む一瞬を

改行問題だけでなく投稿エラーも頻発するようになったので別の用途で使うつもりだったはてなブログを雑記帳として使うことにした
ダイアリーも終了することだし慣れておくにはいい機会かと…ああだけどやっぱりダイアリーがなくなるのはいやだな、いやだと言ってどうにかなるものでもないのだけれど。いやだな

今日は友人に頼まれて部屋掃除の監視役をしたりなど(このイベントは定期的に発生する)
近いうち何か礼の品を送ると言われたが礼など要らないからどうか日常的に掃除する癖をつけてほしい
脱ぎ散らかした服の下から使い捨て剃刀や紙幣が出てくるのは人間の生活する場としてどうかと思うし、いや、なんなら掃除はできなくてもいいからせめて怪我のもとになるものだけは視認できる場所に置いておいてほしい 危ない

この監視役、彼女だけでなく他の友人からも要請されることがあるのだが、なんだろう、私は彼らに腐海を晒して恥ずかしくない相手として認識されているのだろうか
それはまあ部屋が汚いくらい別になんとも思わないけれど、その惨状は本当に他人に見せていいものなのか? と思いはする
私が裏の顔を持つ人間だったらどうするんだ、と要らぬ心配までする
私の周りは無防備なのが多いけど、その美点(と私は捉える)を悪いひとに利用されたりしなければいいなと思う
みんなもういい歳した大人なのにどこかズレているところはむかしからずっと変わらないな


エルレ、音速、コンドル44
懐かしい音になにかを思い出しそうな気配