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ぼくのこころには穴が開いているのかもしれないな
そんなことを思っているうちにまたひとつ歳を取りました

開いた穴を塞ぐより通しを良くしたい
焦らなくてもいずれ埋まるだろうから
ひとのこころか、時間の屑か
それもまたぼくの望むものではないかもしれないけれど

エラーだらけのこの人生を、その全てを愛している

8 8月 2014

 

提灯を手に仄暗い廊下を進む
その旅館は人気が無く、泊まりの客は自分の他に無いようだった
中庭に咲く寒椿はどこか赤黒く見え、灯籠に燈された火は風もないのにちろちろと揺れている
(まるで怪談の舞台の様だ)
ずり落ちそうになった茶羽織を肩に掛け直し、はあ、と白い息を吐く
(こんな御誂え向きの場所で何事も起こらないなんて)
「そんなはずがないんだよなあ」
傍の障子に独り言を投げてみれば案の定、奥で何かの動く気配があった
灯が消えているので正体は判らないが恐らくひとでないものだ
(人語を理解できるだろうか)
障子に散る桜のひとひらが凍えた廊下の上をつ、と滑る
野暮な模様であったそれは私の裸足の爪先に触れると同時に寒椿の色味を窶した
不意に寒気がして振り向くと、唇が触れるか触れないかという位置に黒髪の女性が立っていて「貴方も待っているのね」
強いアルコールと熟れた杏子の呼気に軽い眩暈を覚え、咄嗟に口を押さえたが堪え切れず、足元を汚してしまう
「お友達に云ったわね、待つしかないと」
女性の浴衣の裾に染みた自分の反吐を眺めていた私は、やがて現れた兆候に慄然とした
(同じ色だ)
「あれは自分に向けて放った言葉でしょう」
搦め捕られる、そう思った瞬間、

現実連動型とはまた嫌らしいことをするな私の脳

実際にはここまで滑らかに展開していない
文字に変換できない箇所は端折った
事前に奇譚集の類を読んでいたならまだしも害の無い漫画を読んで何故こんなものを見るのか解せぬ

18 8月 2014

 

ひとのこころは移ろい易く、そして脆い
何を信じて何を棄て置くかを決める時、他者の評価を勘定に入れてはならない
「意見を参考にするのはいいが鵜呑みにするのは止せ」
「委ねようなんて考えるなよ、手前の頭で考えて手前で責任を取れ」
頭のなかの自分が云う
云われなくても解っているさ
自分がどういう人間かってことくらい

伝聞の信憑性
好感と信用が必ずしも手を結ぶとは限らない

23 8月 2014

 

むかし、こころを壊した女のこに「あなたみたいな強い人にあたしの気持ちは解らない、解るはずがない」と怒鳴られたことがあって
ああこの娘の眼にぼくはそんなふうにみえているのかと思うと胸がひどく軋んだ
彼女とはそれっきりだったのであのときの言葉が本心だったのか否か未だに判らず、ふとした折に思い出しては堪らなくなる
全てを拾えているとは思っていなかったけど
それにしたってそんな言葉を吐かせるのは
そんな言葉を吐かせた自分とは一体何なのだろうと

友達という関係性に拘るようになったのはそれからだろうか

別に強くもないんだけどね
たのしいことがあった数時間後、下手をすれば数十分後には消えてしまいたいと考えるくらいにはアレで
人生ってそういうものだと思って生きているけど、決して投げている訳ではなく
楽あれば苦もありますよねー みたいな

みたいな
でも
そう
解らないけど
解りたいとは思うよ
解ってほしいと思うよ
ひとりぼっちじゃないって
寂しくても大丈夫だって
解ってほしいよ
手の届くところに温かいからだがあるってこと

怖いのはみんなおなじさ

25 9月 2014

 

@9A_mdlt: 帰宅して窓を開けたら金木犀の香りが風と一緒に流れこんできて、ああ道理で胃が痛くなる訳だと

そうなんです
秋は好きでも秋につくった思い出はろくでもないものばかりなんです
其処彼処に地雷が埋まっているから、気を付けて歩かないと致命傷を負うことになる
誇張でもなんでもなくて
寒い時期に凍結するのはまだいいよ
でも冬将軍が顔をみせに来る前にくたばるとか嫌じゃない
お菓子くれなきゃいたずらするよ! とか元気にやってみたいじゃない
読書と芸術と悪戯の秋なんだもの
なるべくたのしく過ごしたいよ

金木犀がトリガーな訳はないだろうけど(既に身体に影響が出ているし)
自覚しちゃうと一気に加速するから恐ろしい


そして来月また京都に行く予定ができた
今度は同窓生と一泊二日
この出不精が毎月電車に乗って遠出をするなど(自分で云うのも何だけど)私を能く知る者が聞けば何事かと仰天するに違いない
余程の用事でもない限り自転車で行ける範囲でしか行動しないのが雨崎という人間だ
なので健康的だなあと他人事のように思う

彼女達の気晴らしになるならそれでいい

27 9月 2014

 

抗生物質と頓服を一週間
今のところ効き目はあらわれていないがそのうち良くなるだろう
外泊する六日までに、いや兄の来る五日までにはどうにかしておきたいところだ

先日完治したのとは別の歯が痛みだし、土曜日から今日まで鎮痛剤を飲んでなんとかやり過ごそうと努力したけれど痛いものは痛い、薬効が切れると頭がぼうっとする(程には痛い)
これはいかんと歯科に連絡しなんとか予約は取れたが何せ流行りの歯科、一時間は確実に待つことになるだろう
私の歯は私に何か不満があるのだろうかと勘繰らずにはいられない

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どうも親不知周辺の歯肉が炎症を起こしているのだそうだ
その親不知というのがまた厄介なところに生えているらしく、頬だか顎だかに通る神経にかすっているとかで、抜歯をするにしてもレーザーで出血を抑えられない可能性が高く危険なので、相応した設備の病院で手術を受けるのが望ましいのだと
原因に挙げられたのは免疫の低下や過度なストレス、睡眠不足など(出たよ過度なストレス説! と手を叩きそうになった)
抗生物質と頓服の服用で今回のこの痛みは引くはずだが最終的には自分の回復力を信じるしかない、と医者は締め括った

免疫が落ちているのは実感としてあったものの過度なストレスに関しては思い当たる節がないし睡眠も特に問題なさそうなんだがなあ
自分では元気だと思っていてもこれだから、やれやれ、健康な若者として生きていくにはまだまだ未熟だってことですかね

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帰りに見た夕陽は嘘みたいにきれいで、ここ何日かの苦痛が報われたような気がした
なんとなく泣きたくなったけど、なんとなく泣いたら駄目な気がして、誤魔化すように煙草をくわえた
私は、だから煙草が手離せないのだと思う

明日は穏やかに過ごせます様に
そう願いながら、秋の夕暮れに煙を塗した

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↑どういう精神状態だよと読み返しながら笑ってしまう
もう大丈夫だ
気を失うほどの痛みではない
結局穏やかには過ごせなかったけどそのぶん本が読めた
残響に注文した商品も届いた
からだの具合が悪いなら脳みそをよろこばせてやればいい
私は大丈夫だ

1 10月 2014

 

発熱している
この感じだと37℃前後
薬で喉が荒れてすこし痛い
左頬から耳まで熱を持っていて、まともに意識を保つことすら怠い
まるで病人だ
咀嚼ができないので粥やゼリー飲料、アイスクリームなどを食べる

そろそろ治るのではないかと期待しているけど、どうだろうなあ
抗生物質は効きはじめると早い

精神の安定のために本を注文した
先週買ったばかりでもう足りない
床に臥せった状態でできることは限られているから、ついたくさん読んでしまう
今回は泥棒日記など
トンプスンのキラー・インサイド・ミーと一緒に買おうとして、けれど在庫が無くて買えなかった本
題名からして好い

世界を構成しているものが何か、学のないぼくには見当もつかないけど
自然が拵えた人間が全てを決定したという認識で間違ってないよね
破壊という概念はむかしどこかの偉い人が「創造とは分けて考えるべきだ」と提唱したからで
それ以前は破壊と創造は不可分の関係にあったのではないだろうか
世界ぐるみの約束事(秩序とか云うんだっけか)は今もこうして我々を守っているけれど
どんな規律も道徳も、それが通用しない場所では毛ほどの値打ちも無いのだと思うとなんだか
なんだかとても虚しいような

ああ熱が上がりそう

2 10月 2014

 

きもちがわるい
病み上がりの飲酒はいけないね
呆れるほどよく回る

煙草もうないし注文した本はあらかた読み尽くしてしまった
とても心細い
旧友達はみな忙しそうで友人達もまた忙しそうにしている
百合ちゃんが風邪をひいてしまったらしく心配ではあるけれども私が心配したところでどうにもならないので曇天の夜にすることではないと思いつつお月様に念を送った
今日は満月じゃないから問題ないだろう
どうかあの子の知る月があの絵本の月であってほしいと願う
私の月恐怖症を治癒してくれたあの月、

明後日にかけて台風が接近するとか
明日は愚兄の戻る日だというのに

ひとりでいることに慣れてしまえば君だって私を平気で切れるようになれるんだよ

云わなかったのは寂しさからではなく
謂わばなけなしの情愛
曲解されるのは御免だし、無闇に傷付ける必要も無いし
いつもなら自惚れだと自嘲するところだけど今回に限っては正しい推量だと云える
弱っている旧友を突くほど私は悪趣味じゃない

所詮ぼくはあの娘にとって都合の良い相手なのさ
彼女は自分の心理から目を背けている
ひとを道具だと思っている自分を直視するのが怖いんだ
認めてしまえば楽なのに


ぼんやりとわかってきたのは
己の醜さを一部分でも自覚しているひとをぼくは好きになるのだということ

なるほどあのひとがぼくを悪趣味と評したのはこういうことだったかと
今更気付いたって遅いんだけどね

5 10月 2014